映画いろいろ。

映画の感想文。何となく目に止まった作品を、何となく観始めるのが好き。

邦画『his』 自分を偽る苦しさ

自分が同性愛者だと周囲に知られるのを恐れ、田舎で静かな一人暮らしをしていた迅。
そこへ、かつての恋人である渚が子どもを連れて現れた。

動揺を隠せない迅だが、小さな子どもを連れた渚を見放すことはできず、葛藤を抱えながらも三人での生活が始まる。



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ちょっと複雑なので整理すると、
迅と渚は学生時代に交際していたのだけれど、渚から一方的にお別れ。
渚はその後知り合った玲奈と親しくなり結婚、娘の空が生まれる。
しかし現在は離婚調停中で、空を連れて迅の元をやってきた。


迅はショックですよ、渚はゲイだと思ってたのに(実際ゲイ)女の人と結婚して子ども作って連れてくるとか…。


玲奈の方も渚がゲイだということは知らず、空が6歳にもなった頃に打ち明けられたんです。
双方離婚には合意だけど、親権問題で揉めている状況。



ここまでだと、渚はなんて無神経な人間だと思ってしまいました。
皆に対して裏切りじゃないですか。



物語を正面から見たら、主人公である迅と渚が空を引き取って家族になれるように見守るのがストレートかなと思うんですけど、でもそれじゃあ玲奈がめちゃめちゃ不憫。

定職につかない渚に変わって、娘との時間を削って仕事を頑張ってきたのに、信じていた夫はゲイで妻への愛はありませんでしたなんて。


念の為書いておきますが、ゲイであることに罪はないんです。(当たり前ですが)
それを伝えていなかったこと、隠したまま来てしまったことが問題。




ただ、私は当事者じゃないから分かったようなことは言えないけど、私が思っている以上にまだまだ世の中偏見が多いんだろうなぁ。





裁判中、親権獲得の為に相手の落ち度を突き合う場面はしんどかった…。
玲奈側の弁護士がめちゃくちゃ嫌な奴っぽく見えますけど、あれは多分渚側が子育てに不足ない環境だからああいう言い方しかできなかったんじゃないかなと思うんです。
それが良いか悪いかは別で、勝ち負けのある仕事なんでね(´・ω・`)



この物語って繊細な内容だから、言葉の選び方によっては人がとんでもなく攻撃的に見えたりする。
だけどその人達が全員悪者かというと、必ずしもそんなことはないと思うんですよ。
皆が皆全てを理解できている訳じゃないから、誤解が生んでしまったすれ違いなんですよね。



学生時代に渚が迅を振ったのも、ゲイだと後ろ指さされるかもしれない未来に不安があったから。
玲奈と出会ったことで、世間的な“普通”である男女の夫婦という形、そして子どもを得る希望を持ちたかった。
渚は、迅や玲奈や空を悲しませたことはこれから取り返していかないといけないけれど、自分を偽らなくては生きづらい世の中にも罪がある。私はそう思いました。

昨今セクシャリティについて話題になることも増えてきましたが、まだまだ知らないことだらけだし、この作品を通して新しく気づくことも多かったです。




劇中のセリフにもありましたけど、「誰が誰を好きになったって良い」ですよ。



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