映画いろいろ。

映画の感想文。何となく目に止まった作品を、何となく観始めるのが好き。

洋画『第9地区』 人間とエイリアンにアパルトヘイト政策を重ねたドキュメンタリー

南アフリカ共和国ヨハネスブルグ上空に、巨大な宇宙船が現れてから28年。
船内にいたエイリアンは難民となり、超国家機関MNUの管理のもと隔離地区「第9地区」で生活をしていた。

だが人間とエイリアンの反発や差別による暴動が跡を絶たず、また繁殖力の高いエイリアンの増加に伴い、MNUは新たな隔離地区「第10地区」にエイリアンを移住させることに決定。

立ち退き要請の同意を得るため、MNU職員のヴィカスは第9地区に向かった。
しかし、エイリアンの住居で見つけた“黒い液体”を浴びてしまい、ヴィカスの体に異変が…。




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SF好きなので食指が動いたんですが、触角は嫌いです(゚д゚)
エイリアンの外見が虫嫌いの人には絶対NGだと思うのでご注意。
※あとゴア表現も結構派手です。



でもこのエイリアンが侵略しにきたのではなく、難民となって地球で暮らしているという設定が珍しくて。



ちなみにアパルトヘイトとはこちら↓

アパルトヘイトは、アフリカーンス語で「分離、隔離」を意味する言葉で、特に南アフリカ共和国における白人と非白人の諸関係を規定する人種隔離政策のことを指す。
引用元:アパルトヘイト - Wikipedia


身体能力やテクノロジーはエイリアンの方が上なんですが、基本的に彼らに攻撃の意思はないんです。
むしろ人間の方が高圧的で、かなり胸くそ悪いやり方でエイリアンを制圧しています。

人間側の言動に目や耳を疑いたくなりますが、エイリアンに置き換えているだけで現実の地球でも同じようなことが行われているのだろうかと思うと心が痛みます。




さて物語は、ヴィカスは移住計画の責任者に任命されて調子づいていますが、エイリアンが所持していた液体を浴びて体が徐々にエイリアンに変異し始めるんです。

するとMNUはヴィカスを途端に研究材料として見始めるし、マフィアは自分もエイリアンの能力が欲しいから狙ってくるし、追う側から追われる側に。
更にマスコミは虚偽の報道を流し、ヴィカスは世間から軽蔑の目を向けられるようになります。
こういう映画って人間の嫌な部分がよく描かれますよね…。



マフィアのボスは車椅子に乗っているんですけど、エイリアンの特殊な力が欲しいというより、自分の足で立てるようになりたかったのかなぁとも思うんですよ。
エイリアンの肉を食べたらその力が取り込めると考えて、何やら儀式をしながら食べてるんですけど、こういう宗教的な価値観の違いから生まれる衝突も含まれていて作り込まれた映画だなと感じます。



大ピンチのヴィカスですが、手助けしてくれたのはエイリアンのクリストファーでした。
荒っぽいエイリアンもいるんですけど、クリストファーは温厚でめちゃめちゃ人が良いんです。
友人も大事にするし、子どもへの愛情も深いし。
エイリアンにも色々いるってことです。


この記事の始めでエイリアンの外見が虫っぽいから無理と言っちゃいましたが、見た目で判断してはいけないんですよね。
どうしても生理的に駄目なことってあると思いますが、だからってそれが攻撃して良い理由にはならないんです。


私は幸い人権や人種差別の問題とは縁遠くて想像するのは難しいものがありましたが、この作品を通して世界でどんなことが起きているのかを感じることができました。
物語に描かれているのはほんの一部分でしょうけど、ヴィカスのように明日は我が身であることも教訓になっていると思います。



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