映画いろいろ。

映画の感想文。何となく目に止まった作品を、何となく観始めるのが好き。

洋画『最強の二人』 気を遣われるのも正直めんどい

頚椎損傷により、首から下の感覚が麻痺しているフィリップ。

住み込みの介護人を雇うため自宅で面接を行っていると、そこにスラム街出身のドリスが現れた。
しかしドリスに就職の意志はなく、面接に落ちて失業保険をもらうことが目当てだった。

介護の資格など一切なく、また礼儀も遠慮も全くないドリス。
フィリップは自分を障害者扱いしないドリスを気に入り、周囲の反対を押し切って彼を雇うことに。

意図せず働くことになったドリスは慣れない介護に癇癪を起こしつつも、次第に要領を得て仕事を覚えていく。
そして何よりドリスの陽気な性格がフィリップに勇気を与え、二人は最強のタッグとなる。


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この映画は実話をもとにしたお話だそうです。
感動モノって作品によってはフィクションであることにゲンナリしちゃうこともあるんですが、実話だと本当の意味で心に響きます。


介護人面接の時、応募してきた候補者の言葉に所々「?」と感じる言い回しがあるんです。
志望動機を聞かれて、“障害者が好きなんです”とか“何もできない人に生きる喜びを”とか。
翻訳した際の言葉の綾かなと思ったんですけど、どうやらフィリップにもこの違和感はあったようです。
応募者達はフィリップという人物に、“障害者”というパッケージをして扱うんですよ。


その点ドリスは、なんにも全く気を遣いません。
フィリップの足に熱湯を零してしまっても無反応だったことに興味を隠せず、ジャバジャバお湯をぶっかけちゃったりもします。
自分にそんなことをされたら堪ったもんじゃないですけど、フィリップにとっては新鮮な反応だったんでしょうね。


ドリスって言いたいことはズケズケ言ってしまうし、口を開けばお下品なことばかり話すんですが、なんだか憎めないキャラなんです。
オぺラ鑑賞に行けばド派手な衣装と大迫力の歌声に笑いが止まらなくなっちゃったり、クラッシック演奏を聞けば「これCMで聞いたことあるー!」と大はしゃぎ(笑)
TPOをわきまえるなんて知りません。
でもそのおかげで、これまでずっとしかめっ面をだったフィリップや使用人達も、ドリスにつられて楽しくなってきちゃうんです。
裏表がない真っ直ぐなドリスの性格がフィリップ達の心を繋ぎ直すようで、私も自分の中のモヤモヤが解けていく感じがしました。



そしてもう一つ。この映画は、好意を抱く人がいるけれど一歩踏み出す勇気が出ない、そういう状況の人にも見てみていただきたい。
実はフィリップには、顔も声も知らぬまま、半年も手紙のやりとりをしている女性がいるんです。
奥手なフィリップは毎度ポエムのような小難しい手紙を送っているのですが、それを知ったドリスが一肌脱ぎます。悪く言えばとんでもないお節介を焼きます。
私もこういうのは奥手も奥手なので、無礼者のドリスが何を仕出かすかとヒヤヒヤしました。
でも結果すごく良かった!!ドリスいいぞー!と思わずニケちゃいました(゚∀゚)


障害者やその介護、またスラム街の複雑な家庭を描く内容もありますが、何より二人の友情と笑顔が素晴らしい作品でした。
かなりオススメ。


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