映画いろいろ。

映画の感想文。何となく目に止まった作品を、何となく観始めるのが好き。

洋画『ロング,ロングバケーション』 人生を締めくくる旅

全身をガンに冒されているエラ。
しかしエラは入院して自由を奪われることを拒み、夫のジョンと共に愛車の古いキャンピングカーで旅に出た。
息子達から戻ってくるよう必死に説得されてもお構いなし。

二人はジョンが敬愛するヘミングウェイの家を目指し、フロリダ・キーウェストへ向かう。



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二人は見たところ70代~80代ぐらいだと思うんですが、まぁ熱々のご夫婦です(´д`*)
キャンピングカーってとても運転するのが大変だと聞いたんですけど、ジョンの運転で超ご機嫌にドライブがスタートします。


でも、奥さんの為に車を走らせるご主人なんて素敵だなぁと思って眺めていると、どうも様子がおかしい…。


時々話が噛み合わなくなったり、ぼーっとしている時があったり、実はジョンは認知症でほとんどの記憶が曖昧だったんです。

だからむしろ、介抱してるのはエラの方。
運転している最中にも今何をしているのか分からなくなっちゃうジョンを、どうにか誘導しながら旅をしていきます。


そんなおじいちゃんがキャンピングカーを運転なんて危険極まりない!!けど、その辺は物語なので置いておいて。


度々トンチンカンなことを言い出すジョンに、エラは「その頭どうなってんのよ!」と辛辣なツッコミを入れるもんで笑っちゃいました。
ジョンもしょんぼりしつつも、「すまない、この頭が悪いんだ」と受け入れてるんですよね。
認知症の人の言動は否定してはいけないと聞きますが、“認知症だろうとジョンはジョン”というエラの愛情を感じました。



50年連れ添っている夫婦の愛は冷めることを知りません。

とてもお喋り好きな二人だけど「あなたの沈黙って、ちっとも苦にならない」と静かな時間も楽しんでいたり、迷子になったジョンをやっと見つけた時は「あなたなしではとても生きていけない、たとえ1分でも」と抱きしめたり。

エラの言葉には胸に刺さるものが多い。


キャンプ場でスライドを見ていると、周りの若者たちも立ち止まって笑顔になっていく様子がとても温かった。



ところがですよ!エラはこんなにも深くジョンを愛しているのに、記憶が途切れたジョンからはとんでもない発言が飛び出すんです。
エラをお隣さんのリリアンだと思って話し始めちゃうんですよ。
しかも、非常に親密な関係なようで…。

怖いですねぇ。
今は隠せていると思ってる人も、老後何があるか分かりませんよ?
私だったら絶対許せる気がしないorz


山あり谷ありだった旅ですが、とうとう目的地へ到着。
二人はめちゃめちゃ甘い時間を過ごすんですが、この旅のゴールは思いも寄らないところでした。

途中エラが「サプライズを用意してるの」と微笑むシーンがあるんですが、全く予想できていなかったので思わず「えっ」と声が出ちゃいました。
感動でも悲しみでもなく、ビックリ泣きしましたよ。(←赤ちゃんか)


結末が読めたという人も多いようですが、私はかなり衝撃を受けた作品です。


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