映画いろいろ。

映画の感想文。何となく目に止まった作品を、何となく観始めるのが好き。

邦画『ルームロンダリング』 自分にしかできないこと。

事故物件に入居して、事故の履歴をチャラにする秘密の仕事「ルームロンダリング
そんなアルバイトをしている御子は、実は“見えちゃう”人なんです。


御子は5歳の時に父親を交通事故で亡くし、間もなく母親も失踪。
祖母のもとで育つが、その祖母も18歳の頃に他界。
すると祖母の葬儀に現れた男・吾郎に「これからお前の面倒は俺が見る」と連れて行かれ、今に至る。


数々の事故物件を浄化してきた御子だが、今回入居するのは初めての殺人があった部屋。
案の定出くわした元住人の悠希(幽霊)はこの世に未練たらたらで、御子は自分を殺した犯人探しを頼まれる。


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元住人のやり残したことを代行していく物語かと思いましたが、ミステリー要素もあるブラックコメディ。
痛いシーンが苦手な私は、初っ端に出てくるパンクロッカーの幽霊にヒェッとさせられました(笑)

でもこのパンクロッカーのおかげもあり、人付き合いが苦手だった御子も人との向き合い方が変わっていきます。



ルームロンダリングのルールに隣人との干渉はご法度とあるんですが、これって地域によって感覚が違いませんか?
隣に住んでいるのがどんな人かも知らないのが普通の地域もあれば、家族構成や生活スタイルまで知れ渡っている地域もあったり…。
私は前者の方が住みやすいと思う口ですが、でもこの物語を見てちょっと考えました。


悠希の部屋の隣人・虹川くんは、最初はまぁオドオドしながら挨拶に来て、物凄く怪しい雰囲気なんです。
御子も警戒して距離を置こうとするんですが、虹川くんにはある思いがありました。
事件があった夜、本当は物音や助けを求める声が聞こえたのに自分は聞こえないフリをしてしまった。
あの時、どうしたんですかと様子を見に行ったら、隣の人は助かったかもしれない。
この後悔から、虹川くんは隣の人のことをちゃんと知っておこうと思い改めました。

いい子ですねぇ(T_T)
虹川くんの真っ直ぐな気持ちが伝わって、「君も辛かったよね。うんうん。」と頷いていた私。



そして虹川くんのインパクトが強くて、もう1人不自然な人物がいたことを忘れていました。
これはカムフラージュ?まんまと演出家の手の上に転がされたのか?


いかにも内気な虹川くんでしたが、犯人を見つけ出し勇敢に立ち向かいます。
御子も機転を利かせてナイスアシストを繰り出し、ここはかなり爽快なシーンでした。


御子に仕事を回している吾郎ちゃんも、ヤバい仕事をしているけれど見かけによらず良い人なんですよね。
お金のために御子の面倒を見て利用しているのかと思いきや、御子の母親や祖母の思いを引き継いで支えているんです。
御子の表情もこの物語の中でどんどん生き生き変化して、きっと仕事をする意味も変わったんだと思います。
この作品はドラマも放送されていたそうで、自分にできることを見つけた御子が、ドラマ版ではどう問題を解決していくのか気になるところです。

なかなか奥が深い、人情味ある映画でした。



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