映画いろいろ。

映画の感想文。何となく目に止まった作品を、何となく観始めるのが好き。

洋画『ウェイトレス 〜おいしい人生のつくりかた』

田舎のダイナーで働くジェナは、パイ作りの天才。
しかし束縛の激しいDV夫のせいで、夢も自由も奪われていた。

ジェナはこの夫から逃れようと家出を計画していたところ、予期せぬ妊娠が発覚。
苦しい現実に絶望するが、産婦人科医のポマターとの出会いで人生の再出発が始まる。




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ジェナは産婦人科を受診した際、手土産に持参したパイがきっかけでポマターと惹かれ合ってしまいます。
いわゆるW不倫。

しかしジェナにとってはDV夫から逃れられる、唯一の拠り所となるんです。




このDV夫は鳥肌が立つくらい気持ち悪いけど、ダメ男の中ではよくいるタイプだとも思いますね。
俺様が法律。
妻が抵抗すれば暴力でねじ伏せるか泣き落とし。
…コイツを見てると嫌な思い出がッ…!



ただジェナには、DV夫に苦しんでいることを理解してくれる人達もいるんです。


女社会ってネチネチ意地悪に描かれることも多いですけど、ジェナのウェイトレス仲間はすごく親身に気遣ってくれるし、皆がお互いの幸せを願っている素敵な友達関係なんですよね。


鬼上司も口は悪いけど頑張っているのは見ていてくれてるし、皆からワガママで偏屈な爺さんだと思われている店のオーナーも、実はジェナの作るパイの一番のファン。


本当にあの旦那さえいなければ…orz



あとヤンデレな旦那とは別物けど、ポマターも結構厄介な人物だと思うんですよね。

一見優しさも情熱も兼ね備えていて魅力的だし、ジェナの救世主でもあるけど、如何せん不倫ですから。
しかもキッカケが、ジェナに出会って初恋の人を思い出してときめいたからだし。

ポマターの結婚生活が100点満点なものではなかったとしても、奥さんはめっちゃ素敵な人なんだから、これはただ単に“魔が差した”だけじゃないですか?


ジェナにとっては人生再出発の要だったかもしれないけど、奥さんが気の毒で残念な気がしちゃう。



それにしてもこの映画、ジェナの友達のベッキーは寝たきりの夫がいて苦労していたり、ドーンは婚活でちょっとクセの強い人に当たっちゃったり、一口に結婚と言っても皆違う形をしていてよく考えられてるなぁ。

これを思うと、ポマターの不倫もひとつのケースなのかも。



内容だけ見ると重いテーマだけど雰囲気は全然暗くなくて、蓋を開けてみるとめちゃくちゃユーモア溢れる作品なんですよね。
ジェナは思いの丈をパイで表現するんです。
"惨めな妊娠と自己憐憫のパイ"とか"赤ちゃんの夜泣きで人生が崩壊するパイ"とか(笑)
大好きな新作パイの構想に置き換えることで、辛い苦しい気持ちも紛れていたのかな。




クライマックスは寂しさもあったけど、笑顔になれるハッピーエンドでほっこり。
オーナーが超良い人だったなぁ( ;∀;)


思うことがたくさんあるストーリーで複雑だけれど、私はお気に入りの作品になりました。




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