映画いろいろ。

映画の感想文。何となく目に止まった作品を、何となく観始めるのが好き。

洋画『ストーカー』 家族がほしかった

スーパーの一角にあるDPEショップに勤務するサイ。
彼の接客は誠実で丁寧だったが、中でも常連客のニーナ・ヨーキンとその息子ジェイクには特別な思いがあった。

写真を通してヨーキン一家の幸せを覗いて来たサイは、いつしか家族の一員として自分を重ねるように。

そして、とある客からプリントに出された写真を見たことで、サイは恐ろしい事件を起こしてしまう。



Amazonリンク



家庭にプリンターが普及したことで写真は自宅でプリントするようになり、DPEショップの経営が苦しくなったという話を聞きましたが、データ化が主流の今となっては悲しいことに写真すら廃れてしまっていますよね。
そんな時代にこの物語はますますDPEショップの客足を遠ざけそうですが、私としては単なるスリラー映画には思えませんでした。

そもそもこの『ストーカー』という邦題も間違っちゃいないけど、何かしっくりこない感じがして。(ケチをつける気もないんだけど)


写真は幸せを写しとったものだと考えるサイ。
ヨーキン一家はまさに、サイが思い描く理想の幸せ溢れる家族なんです。
ニーナが結婚して妊娠をして、ジェイクが生まれ、そして今に至るまでを写真を通して微笑ましく見守って来ました。


ここまでは、ちょっと踏み込みすぎだけど人懐っこい写真屋さんなんです。


でもここからが病的な面で、サイはニーナが持ってきたフィルムを自分の分もプリントして、家に持ち帰っていたんです。
これがあるから『ストーカー』なんでしょうけど、これさえ無ければもっと違った印象になっていたのになぁ。



サイが見つけてしまったのは、ニーナの夫であるウィルの不倫写真。


許せないサイは、ウィルの不倫現場に乗り込んでしまいます。
そして彼らを制裁すべく、行為中の写真を撮影させるように要求するんです。


サイにとってニーナの幸せは自分の幸せでもあったから、ウィルの不倫は自分の幸せを踏みにじる行為でもあったんですよね。


でも怒りを覚えるのは分かるんだけど、この制裁の仕方はよく分からなかったorz
どうしてこんなことさせたんだろう。


幸せしか写さないと思っていた写真に、裏切られた気持ちだったのかなぁ。
それで写真に対して抱いていた思いを打ち消すように、見たくないものを撮ろうとしたんだろうか…。



確かに行動はストーカーなんだけど、やっぱり物語の根本はそこじゃないと思いませんか?

私も写真を撮ることが好きだから、この映画を見た感想が「怖い」とか「気味が悪い」とか、そういう感情じゃなかったんですよね。
(※写真屋さんに自分の写真を盗まれるのは御免ですけど!)

私的には悲しいというか、切ないというか、心が痛むような、そんな気分でした。



サイの中で絶対に揺るがない、確実に信じられるはずだったものが敵になる瞬間。
その心境変化の方が肝なんじゃないですかね。


楽天リンク