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PIXAR『ブルー・アンブレラ』 青い傘と赤い傘の恋物語

『ブルー・アンブレラ』は、傘が恋をする物語です。


<さらっとあらすじ>
人も車も忙しなく行き交う都会。
雷の音と共にポツポツ雨が降り始めると、それに合わせるように人々が持つ傘も開かれていきます。

疲れた顔をした黒い傘達に揉まれるようにして、ひょこっと顔を出す青い傘くん。
風に煽られてひっくり返っちゃったりもする、若干冴えない感が拭えない主人公。


信号待ちをしている時にふと隣を見ると、赤い可愛らしい傘がいました。
思わず目を奪われてしまった青い傘くんは、人混みをかきわけて赤い傘さんを追いかけます。



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今週のお題「傘」と言われたらコレしかない!(笑)
モンスターズ・ユニバーシティ』と同時公開された短編アニメーションですが、PIXARの短編は毎回10分足らずでギュッと濃い物語なんですよね~。



ストーリー自体も意外性があって面白いんですけど、CG技術に長けたPIXARですから雨の描写がすごく綺麗。というかまるで実写。
地面に当たって水滴が弾ける様子、乾いた布に染み込む一つ目の雨粒や、傘を開いてすぐと後の色の違い。

表現がリアルだから、雨の日の「うわ~めんどくせぇ」の感覚が味わえるはずです(笑)



この作品は傘だけでなく街並みにも表情があるんですが、青い傘くんは顔を出すと街の皆にニコっと挨拶します。
最初にこの物語を見た時、どうして雨が降り始めると街並みがニコニコし始めるんだろうと不思議だったんです。
雨のリズムが心地良いのかなとも思っていましたが、雨が降ると青い傘くんがやってくるから楽しみにしているのかも( ´∀`)


傘をさして人混みを歩くって避けるのが大変じゃないですか。
それが青い傘くんと赤い傘さんの距離をもどかしく演出しています。
本当に雑踏の中の傘というだけで、ここまでストーリーが広がる創造力が素晴らしいです。


そして完全に擬人化されたキャラクターなのではなく、あくまで人が持っている傘なのがポイントだと思うんですよね。
もしかしたら私達の頭上でも、出会いと別れが繰り広げられているのかも。

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出典:PIXAR公式HPよりhttps://www.pixar.com/the-blue-umbrella